大地主と大魔女の娘

 大変だ。

 仮面が外れない?

 そんなバカな……。

 先程の不思議な女の子の来訪は、黙っておこうと決めた。

 それどころではない。

 ぎゅっと、胸元の衣を握り締める。


 皆が皆、黙りこくって、地主様が頭を傾ける様子を見守っていた。


 確かにおかしい。

 仮面は頭の後ろで紐を縛って、固定する造りだ。

 地主様の耳もとで、落ちた紐も揺れていた。

 房飾りの付いたそれは、地主様の肩に付いている。


 地主様は両手で、仮面を引き剥がそうともされた。


 皆が息を詰めて見守る。

 ビクともしない。

 地主様のため息を合図に、皆も詰めていた息を吐いた。


「どうなっているんだ?」


 ジェスが、地主様を責めるように問い掛けながら、仮面に手を伸ばした。


 両手で引き剥がそうとしているが、やはり仮面は外れなかった。


 まるで、ぴったりと張り付いてしまったかのようだ。


 地主様は傍目から見ても嫌そうに、ジェスの好きにさせている。

 だが、いい加減無駄だと判断されたのだろう。


 彼の手を払いのけるように遮ると、唸るように言い捨てた。


「俺が訊きたい」


 確かにそうだ。


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