大地主と大魔女の娘

皆の歓声がひとしきりおさまる頃、頭を下げる。

 村長さんが進行を促すように、声を張り上げた。

『さあ、今年も無事に森の神と女神を迎えることが出来た! お二人ともから祝福をさずけていただくとしよう!』

 それから地主様に付き添われるようにして、慎重にやぐらに登った。

 確かに階段になっていて助かった。

 これがはしごだったら、目も当てられない。


 慎重に慎重に。


 杖は階段の登り口に立てかけて、手すりに掴まりながら足を運んだ。


 地主様が横に立ち、腕を回して肩を支えてくれている。

 一人で登れると言い張ったが、相手にされなかった。

 確かに強がりであったことを認めるしかない。


 階段は全部で十段以上あった。

 思っていたよりもずい分高い。

 それからは怖くなって数えるのを止めてしまった。


 足を運ぶ方だけに集中するに限る。



 ・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・


『ありがとうございます』


 どうにか登りきり、地主様を見上げたが頷いただけで、体が離れる気配はなかった。


 そのまま、やぐらの真ん中まで付き添われて行った。

 結構、広い。

 私の部屋より、少し狭いくらいだ。
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