大地主と大魔女の娘
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「じぬ……。レオナルさま、少し下ろしてください」
「嫌だ」
即座に断られた。
「あの、お渡ししたい物があるのです。この格好だとお渡しできません。それとも、やっぱり……。私からの物はご迷惑でしょうか?」
すぐさま下ろされた。
地主様は私からさりげなく仮面を奪う。
その間も私が転ばないようにと、もたせ掛けるようにして支えてくれていた。
自身の左の二の腕にはめておいた腕輪を外す。
石は赤だ。
ミルアと一緒にこしらえた、想いを託すという腕輪。
今までの感触の記憶を頼りに作ったら、私の腕にははかなり大きな寸法になった。
いつのまにか、この目の前の人を想いながら作ったら、そうなっていた。
「じ、レオナル様。どうかこれを、よろしかったら受け取って下さい」
勢い付けて差し出したら、地主様にまるで押し付けるようになってしまった。
彼の手のひらに収まる赤い石の輝きが、ひどく眩しい。
地主様は私と腕輪とを交互に見比べて、それから微笑んでくれた。
「ありがとう、カルヴィナ。いいのか?」
「はい」
こくりと頷く。
すごく恥ずかしいけれど、先程のやぐらでの出来事に比べたらなんてことはない。
そう自分に必死で言い聞かせた。
それはそれで頬が火照る。
そっと見上げると、地主様は早速はめてくれていた。
私に見せるようにしてくれる。
「ちょうど良い大きさだ」
地主様のもの言いたげな眼差しと見つめ合ってから、ジェスへと向き合った。
「ごめんなさい、ジェス。あなたとは踊れません。これからも、ずっと。だからもう、待たないで。待たないで――本当にごめんなさい」
「そうか。わかった。……もういくら待っても、どうにもならないのだな」
「ごめんなさい」
「謝らないでくれ、エイメ」
ジェスが悲しそうに、でも無理やり微笑んで見せながら、立ち上がる。
「いいんだ。エイメが祭りに参加してくれて良かった。本当に。巫女姿、綺麗だ。すごく」
「ジェス……。」
「お疲れさん!! ジェス――!!」
突然の大声に驚く。