大地主と大魔女の娘
そうなると地主様との接点はあんまり無い。
せいぜい朝食の時とお見送り、たまの夕食の時くらいだ。
そこで、ようやく思い知ったのだが、地主様と私とではまったく話しが合わない。
今までだってずっとそうだと、当たり前のことだと認識していたはずなのに。
最近はちょっと勝手が違っていた。
私は必死で彼の話に興味を持とうと耳を傾けてみるのだが、まったくもってそんな兆しが見えてこないのだ。
ただ、やっぱり地主様はお忙しいのだなあ、とか。お金持ちなのだなあといった自分との差だけを突きつけられる気がする。
話せば話すほど離されて行く感じだった。
どうしようもない。
エルさんと地主様が打ち合わせているとき等、何を話されているのかまるで解らない。
無知な小娘が無礼にも、馴れ馴れしくしすぎていたのだと改めて思い知る。
急に胸にあった圧迫感がしぼんでゆく。
おかしい。
やっと深く呼吸が出来るようになったというのに、私がそれを寂しく感じているとは何事か。
あたたかな土に触れながら、そのままぼんやりしてしまった。
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「あら。可愛らしい子猫ちゃんがいるわ」
人影がさしたと思ったら、綺麗な声も降ってきた。
子猫?
どこにいると言うのだろう。
私も見たい。
辺りを見渡してみたが、残念ながら小さな尻尾の先すら見当たらなかった。
せいぜい木漏れ日が揺れているだけだ。
「あらあら! 本当に可愛らしいこと! 子猫を探しているの? 子猫ちゃん」
すごくはっきりとした、凛とした声が響く。