大地主と大魔女の娘
今は避けたい話題に移行していくのを、どうにか避けられないものかと、リディアンナ様を見た。
「カルヴィナも叔父様もとても素敵だったのよ、お母様」
どうやら避けられないらしい。
「少しだけ、聞いてはいたのよ。でも具合が悪くって! もう一度詳しく聞きたいわ。ねえ、リディ」
それからひとしきり質問攻めにされて、全く落ち着きを無くした私は、あいまいに返事をするばかりだった。
リディアンナ様は心得た様子で、お祭りの事を話してくれている。
私はといえばもう、ただただ小さくなって、話しが尽きてくれるのを待つしかなかった。
「叔父様がね、すごく見蕩れていたんだから。カルヴィナがあんまりにも可愛らしいから」
「そ、そんな事は……。」
「あら! わたくしの目はごまかされなくってよ。叔父様は間違いなく、カルヴィナを真剣に見つめていたのよ。それに褒めてたわ。準備も含めて大変だったろうに、朝から文句のひとつも言わないで、カルヴィナは巫女役を勤め上げたって。頑張ったって褒めてたのよ」
「流石に私達の義妹ね、カルヴィナ」
「え?」
今、耳慣れない言葉があった。
義妹、イモウト、とは私の事を言っているのだろうか。
しかも「私達の」とは、一体何の事だろう。
「あら。カルヴィナは聞かされていなかったの? ダメねぇ、レオナルったら。ちゃんと言わないんだから。カルヴィナはね、」
「お母様、そのお話は叔父様が後できっと」
リディアンナ様は気を使うようにそっと、ジルナ様の言葉を遮る。
「あら、いいじゃない。カルヴィナはもうロウニア家の養女になったんだから、私達に遠慮はいらないわ。安心してこの姉と兄を頼ってちょうだいね」
「お母様」
きっぱりとリディアンナ様が呼んだ。
ジルナ様は驚いたのだろう。
口を噤んで、リディアンナ様を見つめた。
「少しお疲れになったでしょう? お休みにならないと」