大地主と大魔女の娘
しずしずと歩み寄ってきた一人は、おしとやかな感じの女性だった。
表情も落ち着いていて、私よりも少し年上のようだと思う。
伏し目がちに見えるほど長いまつ毛の下の瞳は、青空そのまんまで美しい。
彼女は、長い金髪をきっちりとまとめあげている。
後れ毛はくるくると項で遊んで、光をはらんでいるようで見とれた。
「よろしくお願い致します。私はキーラと申します。こちらは」
目線で促されると、控えていた女の子が歩み出た。
「フィオナです。よろしくお願いします」
もう一人の子はやや赤みがかった金色の髪で、明るい雰囲気が伝わってくる。
しっかりとこちらを見て、好奇心いっぱいの瞳を輝かせている。
彼女のまた、綺麗な青空そのままの色合いを瞳をしていた。
何の曇りもない。
あんまりにも綺麗で、思わず恥ずかしくなって、瞳を伏せてしまった。
「よ、よろしくお願いします」
私がおずおずと頭を下げたのを見届けると、スレン様は言った。
「この二人にお任せするから、僕らは退散するとしよう。では夕刻にね」
この二人から、大事なことを学ぶのだ。
それはきっとこの神殿に仕える上での、しきたりや規則に違いない。
そう思ったから、姿勢を正して身構えた。
「さてっと。まずは交流会よね。お茶、ワタシにもちょうだい」
「言えてる。はい。お代わりいるよね。お湯を足しちゃおう」
「お茶の葉も足しちゃえ。やったね、高級! いただきまーす」
……ええっと?
「シオンったら。何をいばちゃってんのかしらって思ったわ、私!」
「レメアーノ殿はさすがよねえ。嫌味のない所がまた、女泣かせよねぇ」
「ギル君も良かったわ。将来に期待出来るわね」
「やだ――! ギル君がかわいそう!」
「ちょっと、それどういう意味よ」