大地主と大魔女の娘

大魔女の娘

 戸口を塞いでしまうほどの大きな影が、今日はいつもより一つ多いようだ。

 一人はいつものオトコノヒト。


 おばあちゃんが亡くなってから、今日までずっと毎日訪れる人。

「大魔女の娘よ。食事はとりましたか?」


 いつも同じことを同じ調子で繰り返してくる。


 その間ももう一つの見慣れない大きな影は戸口に突っ立ったまま、動かないでいる。


 戸口から差し込む光を遮ってしまうから、室内が暗く、また肌寒く感じられた。


 彼は背に光を浴びたままなので、逆光でその表情は窺えないが何かしらあまりよい感情ではないのだけは伝わってくる。


 それが室内を冷やすのだ。

 コワイ。



 
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