大地主と大魔女の娘
 しかも、どこで立っている噂なのか。

 大方、スレンの知る範囲内のごくごく狭いものだろうが、釈然としなかった。

「フルル、可愛いよね。控えめで、でも度胸があるみたいでこっちをまっすぐ見てくる様が……気に入った」

 言い切った男を見上げる。

「まっすぐ見てくる? 人違いじゃないのか」

「フルル、大きなおめめでじっとこっちを見上げてきてくれたけど。何? 君には懐いてくれていないんだ」

「……。」

「手触りも良かったな。何? 毎日ちゃんとブラッシングしてあげてるの?」

「そんなわけあるか」

「同じことでしょ」

「何がだ」

 本当にこの男の言う事はいつだって不可解だ。そして不快だ。
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