大地主と大魔女の娘
 
「だってさ。ヒドイよねぇ、フルル?」

 やあ、まちくたびれたよ。

 咽喉が渇いたからお茶を早くね?

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 さっきから促がす、男の人の声もどこか遠い。

「は、い」

 それでも何とか返事をした。

 呼吸を整えて努(つと)めて平静を装う。

 ここで震えでもしたら、もっとからかわれるだろう。

 私ではなく地主様の方が、だ。

 そうなったら彼はもっと気分を害するに違いない。

 扉のまん前で立ったまま動かない地主様の肩に手を掛けて、押しよけるようにすると、招き入れられた。

 立ったままの男の人二人に囲まれて見下ろされたまま、お茶を淹れる。

 いい香りがしたが、少し弱かった。

 せっかくの淹れたてのお茶も、ここに来るまでに冷めてしまったためだろう。

「ずいぶん遅かったんだね? まぁおかげ様なのか、ちょうど飲み頃だけどさ。

 でもちょっと飲み頃過ぎ?

 お茶は冷ましながら飲むのがいいんだよね」


 立ったままでごくごく飲み干した彼が、そう言いながらカップを差し出してきた。
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