大地主と大魔女の娘
わかりました、お嬢さま。私たちがすぐに参りますから、お任せください」
笑顔で請け負うと、彼女は遠慮がちにゆるゆると首を横に振った。
「ありがとうございます。でも、私にやらせていただけませんか?」
「……わかりました」
一瞬ためらってしまったため、返事が遅れた。
彼女の足では負担が大きかろうと思ったからだ。
だが、それもどうだろう。
彼女に対して失礼ではないか?
このコが役に立とうと色々と必死であるのを、私は知っている。
「役に立て」と地主様に言われ連れて来られたのだそうだが、具体的にはまだ何も示されていない。
せいぜい「きちんと食事を取れ」くらいのものだった。
だからこそ、自分の立ち位置があやふやで少女は途惑っている。
言葉も配慮もいまひとつ足らない主がまた、余計な事を言うものだからなお更だ。
素直に「側にいてくれるだけで充分だ」と伝えればいいものを……。
そんな想いは胸に秘めて、お茶とお菓子の仕度を整える。
お茶菓子程度の重さだが、そこは夕食用などを載せる頑丈なワゴンを選ぶ。
少しばかりかさ張るが、この方が彼女の体重も支え易かろうという配慮からだ。
彼女に茶葉の説明をしてから送り出した。
その背を見守る。