大地主と大魔女の娘


 主の部屋の前に駆けつけ、頭を下げて控える。


「カラス娘に余計な事をさせるな。面倒が増えるばかりだ」


 お茶の準備をした事が余計な事だとでも言うのだろうか。

 納得いかなかったが、黙って頭を深く下げるしかない。


「いいのかな~? そんなこと言って」

「スレン、おまえはいい加減黙れ!」

「フルルが可哀相で黙ってなんていられないよ」


 言い合いながら遠ざかる二人に、もうおよし下さいと叫んでしまいそうだった。


「失礼いたします! お嬢さま、大丈夫でございますか?」


 開けっ放しの扉の向こうに飛び込む。


「……。」


 椅子に身を縮めるようにして、少女は静かに涙を溢れさせていた。

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