大地主と大魔女の娘
自分の感情を表現するのに、相応しい言葉が見つからない。
だからだろうか。何だか自分自身を持て余したままだ。
あんなに悪し様に罵られるのは予想の範疇だったはずなのに、どうにも胸が痛みを訴えるのだ。
どうしてだろう?
今まで何回も何回も色んな人から言われ続けて来た事なのに。
「カラス娘」
「障害者」
「不具の娘」
「みすぼらしい」
「貧弱」
それらは全部オトコノヒトたちから言われてきた事だ。
きっと私のような女は欠陥だらけで、異性からは眉をひそめずにはいられない存在なのだろうと窺い知れる。
同性は同性のよしみでなのか、同じ女としてあまりに取るに足らない存在であるからなのか、あまりあからさまに攻撃された事は無い。
己をじっくり分析してみるが、これといった解決策は浮かばなかった。
あえて言えば相手に妥協してももらうより他は無い、という結論に達した。
妥協点。
『不吉なカラス一色の娘』
『足を引き摺って歩く障害者』
「……。」
足はこれ以上、治り様が無いから一生このまま引き摺って歩くし、髪も瞳も色味を変えようが無い。
駄目だ。妥協点が見つからない。
だったら、導き出される答えはひとつだった。
出て行こう。