大地主と大魔女の娘
それがいい。
行方をくらますのだ。
明け方にはそのような結論に至っていた。
何ていい考えだろうか!
どうしてそれを思いつけなかったのだろうか。
私らしくも無い。
きっと、色々な事がありすぎて思考も麻痺していたに違いない。
地主様はお客人と、私をどこか他所にやる相談をしていたのかもしれない。
でも私をフルルと呼んだあの人の家の子になっても、きっと彼は納得しないだろう。
何となく、あの様子を見ればそれは解った。
だからといってあの調子では遅かれ早かれ、ここに身を置く事もなくなりそうだな、と思えた。
地主様は魔女の使い道を、思いあぐねておられるのだと思う。
魔女から森を取上げたら何も残らないというのに、あの方はそれを解っていないのだ。
足らない税金は少しづつでも何とか納めよう。
そのためにはどこか、魔女の力が揮(ふる)える場所を目指そう。