大地主と大魔女の娘
自分の死期が近いと覚(さと)っていてさえも、おばあちゃんは森の大魔女だった。
いつまでも悲しむ、私だけが未練がましいのかと泣けてくる。
しかし、いつまでもそれではあまりに情けない。
おばあちゃんだったら、どうしただろうか?
きっと前を見据えて歩みを止めなかったと言い切れる。
だから歩こう、と面を上げる。
地主様に今までの分の税金を納めねばならないのだ。
何より食べていかねばならない。
そのためにもお金が要るのだ。
まずは働き口を探そう。
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「仕事、世話してやろうか?」
突然声を掛けられて振り返ると、やせぎすの男の人がこちらを見ていた。
格好はあまり上品とはいえない様な、着崩したシャツの胸元は肌蹴ている。
編み上げた長靴で足音を立てないまま、私をじろじろ見ながら近付いてきた。
「仕事、探してるんだろ? なあ」
頬はこけていて、その眼光だけが鋭く嫌に目立つ。
地主様と同じような髪と瞳の色なのに、酷くくすんで見える。
ここがあまり日が射さないせいばかりではあるまい。
「ついて来な」