大地主と大魔女の娘
「で、旦那はいくつなワケ?」
「二十九になる」
「ええ! 思ったより、若っ!? その割に落ち着いているもんだからさ~」
「でも、一回りも年下かぁ。そりゃあ、お嬢ちゃんの戸惑いもわかるなぁ」
「戸惑い?」
「そりゃあ、そうだろう。自分よりもずっと年上の、しかも昨日まで見ず知らずの男に、いきなりアレコレ言われたら萎縮するに決まっているだろうよ、旦那! しっかりしてくれよ!」
「しかも、言い方がなぁ。……見ちゃおれんかったしな。旦那、あんな言い方は無い。ますます溝を深めたいなら止めないが」
「そうそう。うちのぼうずが、嬢ちゃんが可愛くてだな。ちょっかいだして、転ばせちまったらしいんだわな。……悪かった! 悪かった、旦那! そう睨まないでくれ。ルボルグにはよっく叱ってきかせたから許してくんな! で、その嬢ちゃんにも謝らせようと探してたら、あの騒ぎだろう?」
「……。」
「なあ、旦那。嬢ちゃんは、あんたをものすごく誤解していると思うぞ? ちゃんと、物事を順序だてて説明してやったのかい」
中年の男三人の気遣う様な、好奇心から探るような視線に黙り込むしかなかった。
それを答えと受け取ったのだろう、少年の父親が俺の背を叩く。
「じゃあ、これからちゃんと話してやれば解ってくれるって! 」
・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・
「レオナル様。こちらでしたか」
「リヒャエル。娘は見つかったが、思ったより長引きそうだ」
時間を過ぎても戻らなかった俺を追って、リヒャエルは港に駆けつけたのだという。
そこで一連の騒ぎを聞いて、こちらに向って俺を見つけたらしい。
あらかた察しをつけているであろうリヒャエルが頷いた。
「申しわけありません」
リヒャエルが深いため息と共に謝罪する。
何がと、問うよりも早くにその理由がわかった。
軽やかな足どりで酒場に入ってきた人影が、奴だったからだ。
「スレン」
「来たよ」
「呼んでいない」
「二十九になる」
「ええ! 思ったより、若っ!? その割に落ち着いているもんだからさ~」
「でも、一回りも年下かぁ。そりゃあ、お嬢ちゃんの戸惑いもわかるなぁ」
「戸惑い?」
「そりゃあ、そうだろう。自分よりもずっと年上の、しかも昨日まで見ず知らずの男に、いきなりアレコレ言われたら萎縮するに決まっているだろうよ、旦那! しっかりしてくれよ!」
「しかも、言い方がなぁ。……見ちゃおれんかったしな。旦那、あんな言い方は無い。ますます溝を深めたいなら止めないが」
「そうそう。うちのぼうずが、嬢ちゃんが可愛くてだな。ちょっかいだして、転ばせちまったらしいんだわな。……悪かった! 悪かった、旦那! そう睨まないでくれ。ルボルグにはよっく叱ってきかせたから許してくんな! で、その嬢ちゃんにも謝らせようと探してたら、あの騒ぎだろう?」
「……。」
「なあ、旦那。嬢ちゃんは、あんたをものすごく誤解していると思うぞ? ちゃんと、物事を順序だてて説明してやったのかい」
中年の男三人の気遣う様な、好奇心から探るような視線に黙り込むしかなかった。
それを答えと受け取ったのだろう、少年の父親が俺の背を叩く。
「じゃあ、これからちゃんと話してやれば解ってくれるって! 」
・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・:*:・。・
「レオナル様。こちらでしたか」
「リヒャエル。娘は見つかったが、思ったより長引きそうだ」
時間を過ぎても戻らなかった俺を追って、リヒャエルは港に駆けつけたのだという。
そこで一連の騒ぎを聞いて、こちらに向って俺を見つけたらしい。
あらかた察しをつけているであろうリヒャエルが頷いた。
「申しわけありません」
リヒャエルが深いため息と共に謝罪する。
何がと、問うよりも早くにその理由がわかった。
軽やかな足どりで酒場に入ってきた人影が、奴だったからだ。
「スレン」
「来たよ」
「呼んでいない」