大地主と大魔女の娘
「またキサマか!」
「だってさ。障害があった方が燃え上がるでしょ?」
何の話だ。
問い掛けるのも馬鹿らしい。
コイツを面白がらせるだけだ。
憤りに任せて立ち上がった。
「もう一度言う。呼んでいない。何をしにきた!」
諸悪の根源ともいえる、スレンを睨む。
「だから来て上げたんじゃないか。フルルはどこにいったの? 何、帰らないって言ってごねてるの?」
「貴様には関係ないだろう」
「おぉ? なんだ、なんだ。色男は恋敵ってやつか? 旦那」
オヤジたちが控えめながら野次を飛ばす。
いつ何時でも他人の事情に興味津々らしい。
目線だけで黙るように促がすと「おお怖い怖い」と、言いながら首をすくめて見せられた。
しかし視線を逸らす様子は無かった。
それを忌々しく思いながら、今はスレンへと向き直る。
「何の用だ」
「決まっている。フルルを迎えに来たんだよ。きっと君の所には帰らないって、泣いて拒否するだろうなって思ったからさ。……年頃の娘の容姿をとやかく言う男の側に、とてもじゃないが女の子を置いてなんておけないよ。ねぇ?」
スレンがふざけた口調で飲んだくれのオヤジ共に尋ねた。
「旦那、そいつは本当の話なのか?」
「嬢ちゃんに何て言っちまったんだ」
「旦那!」
「……。関係ないだろう」
「フルルのこと、みっともないカラス娘で貧相だって言わなかった? あ。そうそう。あと、確か足を引き摺って歩く障害者って言ってたよね」
「旦那!」
赤毛の男が立ち上がった。