女子の失敗

失敗、失敗、大失敗。

スッタスッタと、歩くたび、サンダルがアスファルトに擦れる音。

デート用に買ったヒールの高いサンダルは、決してこんな速く歩くためのものじゃない。

時刻は午前1時半。
場所は電灯がぽつり、ぽつりとついているだけの歩道。

真っ暗な足元は、サンダルを塗り潰して。

…大失敗、だ。

こんな深夜に、大喧嘩して彼氏の家を飛び出してきてしまった。


「~もういい!!」なんて勢いのままにドアをスッパーン!!て閉めて出てきたはいいものの、現在のあたし。

すっぴんの上、装備はケータイと、なけなしの銭のみ。

行くところがないから、とりあえず駅に向かってる。でもこんな時間じゃ終電もとっくに終わってる。わかってる。

スッタスッタスッタスッタ、速い足音だけが耳の奥に響いて。

ぐつぐつと煮え立った頭に、ほんの少し、後悔が生まれていた。


なに、してんだろ。あたし。

あんなに怒らなくても、大声で怒鳴らなくても、よかったかもしんない。


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