女子の失敗
暗闇にぽっかり、四角を型どって光る画面。
そこにはあのアホンダラ、にっくきヤツの名前がのうのうと照らし出されていた。
「………」
ムカつく。
ほっとかれなくてちょっと嬉しいとか思った自分にも激しくムカつく。
だから通話停止ボタン。ブチッて切って。
そしたらまたかかってきて、切って、それを二回繰り返したところで、通話ボタンを押した。
「………ハイ」
「もしもーし。元気?」
「…………」
…元気じゃねえ。
「…ま、そんなハイペースで歩くくらいやから元気やわな」
「…え?」
なんで知ってんのって、振り返ったら、コンタクトがなくてもギリギリ認識できるくらい後ろ。
見覚えのある、ふわふわした頭のシルエットがあった。
…なんでついてきてんの。
「もしもーし」
「……」
「もしもしー、わたしメリーさん。いまあなたの後ろにいるの」
「……」
「おーい。聞こえてますかー?」
「…ぜんっぜん面白くない」
「はっ……なぁ、戻れって」
「嫌」
「危ないやろ」
「ほっといてよ!」
「アホかお前」