花
「……これは……夢?」
香澄に ではなく、自分に確かめる為に声を出したのだが、
残酷な香澄の声が、聴こえた。
「…残念ながら、現実。
和ちゃんが混乱するのも分かるし、信じられないのも、分かる。
けど…最初から、全部、話すね。
それで もし和ちゃんが貴史を嫌いに なっても…」
そこで言葉を切って、香澄は悲しそうに微笑んだ。
それは あの時 悲しそうに笑った、″彼″の笑顔に よく似ていた。
…しかし、
次の瞬間に元の人懐こい笑顔に戻って、言う。
「…ううん、何でも ない」