花
「……」
香澄の様子に ほんの少しの違和感を覚えたものの…
和は ただ、貴史を″救いたい″と思った。
笑顔の裏側の″彼自身″は とても危ういバランスで保たれていて、
いつでも壊れそうな気が したから、
″自分が何とか しなければ″という気持ちに、なった。
だから、現実味のない香澄の話も、
和は最後まで聞こうと、思った。
どんな事でも、
貴史の事を知りたかったから。
彼の心に、触れたかったから。
香澄が事の起こりを始めから全て話すのに、
和は黙って耳を傾けた。