花
「…さっきから不思議に思ってると思うけど…、
俺と貴史は、人間じゃない」
香澄の話は またしても、
そんな非現実的な話から、始まった。
信じる 信じない は 別として、
とりあえず香澄の話を最後まで聞く覚悟を決めた和は、
黙って頷いて見せた。
「俺達は元々″一人だった″って言ったけど、
俺達の元となった そいつは、
″死神″として生まれて来た」
「……死神…?」
最後まで聞こうと思っていたのに、
あまりに衝撃的な その響きに、
和は思わず その言葉を声に出して繰り返した。
「うん、そう。
……和ちゃんは、″死神″って どんなだと思う?」
「えと…
顔が骸骨で、マント?を着てて…鎌を持ってる」
突然の問いに驚いたが、
和は思い付いた事を、そのまま話した。
香澄は柔らかく微笑んで頷いた後、話を続けた。
「…うん、普通は そうだよね 笑
で、多分
″人の魂を狩っていく″みたいなイメージがある、でしょ?」
「…はい」
和は、正直に頷いた。
「でも俺達は、みんなが想像してるのとは違ってて、
″魂を狩る″んじゃなくて、″運んでる″だけなんだ。
よく、死神を見ると″もうすぐ死ぬ″みたいに思われるけど、
俺達が″近くに居るから死ぬ″んじゃなくて、
命を終える人の近くに居て、″見守ってる″って感じなんだ」