花
「…ねぇ、和ちゃん?」
お昼休みに中庭で一緒に お弁当を食べていた凛が、
ぼーっ と していた和を心配して、声を掛けた。
「あっ…ごめん、何?」
慌てて聞き返す和に、凛は躊躇いがちに口を開く。
「和ちゃんの気持ちは分かるんだけど…、
忘れる事も大事だよ?
″忘れて良い事″って訳じゃない けど…。
でも、
忘れなきゃ前に進めない事も、あるし」
「うん…」
どうやら凛は、和が貴史に惹かれている事を知っていて、
諦めさせよう と しているのかも しれない と、和は思った。