白いジャージ9 ~最終章~
「お義母さんに寂しい思いをさせてしまっていたんですね」
「ううん。違うのよ。あなた達はよく会いに来てくれていたし、何も謝ることはないの。私、娘が欲しかったのね、きっと」
お義母さん……
いつか、私、本当の娘になれる?
「和人に怒られちゃうかもしれないけど、あの子は過去にいろいろあったでしょ?あのときにね、俺はもう一生誰とも結婚しないって言ったの。せっかくできた孫にも会わせられないし、これから孫の顔を見せてやることはできないって頭を下げたの。それくらい、あの子もボロボロになっていた。私もお父さんも、何もしてやれなくて、ただ時間が解決するのを待つしかなかった」
先生、そんなこと言ったんだ。
知らなかった。
それくらい、つらい出来事だったんだね。
私はお湯の中に映る明かりを見つめていた。