白いジャージ9 ~最終章~






「お義母さんに寂しい思いをさせてしまっていたんですね」





「ううん。違うのよ。あなた達はよく会いに来てくれていたし、何も謝ることはないの。私、娘が欲しかったのね、きっと」




お義母さん……



いつか、私、本当の娘になれる?






「和人に怒られちゃうかもしれないけど、あの子は過去にいろいろあったでしょ?あのときにね、俺はもう一生誰とも結婚しないって言ったの。せっかくできた孫にも会わせられないし、これから孫の顔を見せてやることはできないって頭を下げたの。それくらい、あの子もボロボロになっていた。私もお父さんも、何もしてやれなくて、ただ時間が解決するのを待つしかなかった」








先生、そんなこと言ったんだ。



知らなかった。







それくらい、つらい出来事だったんだね。





私はお湯の中に映る明かりを見つめていた。









< 13 / 304 >

この作品をシェア

pagetop