白いジャージ9 ~最終章~
プールサイドに立つ先生が見えた。
フェンス越しに、呼んでみる。
「新垣先生!!」
水の音でかき消される。
届かない私の声。
この想いと同じ。
先生に、この“好き”は届かない。
私は、こっそり、先生の背中を見つめた。
鍛えられた体。
かっこいい。
大好き。
あ、笑ったぁ。
笑った時の顔も好き。
笑った時に少し高くなる声も好き。
私はしばらくその場所から先生を見つめていた。
こっそり覗くなんて、エッチだよね、私。
でも、こんな機会めったにない。
いつもは恥ずかしくて、目をそらしてしまうから。