白いジャージ9 ~最終章~
そこに立っていたのは、細身のスラっとした女性だった。
165cmくらいありそうな長身で、スキニーデニムがとてもよく似合う綺麗な足をしていた。
帽子をかぶっていて顔は見えなかった。
七緒ちゃんを抱き上げたその女性と、目が合う。
想像していた人と違った。
優しい目をしていた。
勝手な想像だけど、気の強そうな印象の人なんじゃないかと思っていたんだよね。
全然違う。
柔らかな雰囲気で、化粧もそんなに濃くなくて。
日に焼けた肌が似合っている。
「七緒ちゃんのお母さんですか?」
私は勇気を出して声をかけた。
このチャンスを逃すと、一生話せないかもしれない。
ずっと会ってみたかった。
怖いけど、ちゃんと話してみたかった。
先生が愛した人。
先生が結婚していたかもしれない人。