白いジャージ9 ~最終章~
「もう、私達のことは気にしないでね。もっともっと幸せになってね」
江美さんはそう言って、七緒ちゃんと旦那さんの元へ走って行った。
涙が溢れた。
止めようと思っても止まらなくて、階段にしゃがんだまま、ひざに顔をくっつけて泣いた。
いい子ぶっていただけかもしれない。
正直に言うと、やっぱり辛かった。
先生に娘さんがいると知った時、
辛くて辛くて、怖くて怖くて仕方がなかった。
七緒ちゃんのことをかわいいと思うことができたのも、数年経ってからだった。
七緒ちゃんとそのお母さんである江美さんのことは、いつも心の中にあったし、気にしていないと言えば嘘になる。
先生に子供がいる。
そのことは、やっぱり重荷だったんだ。