白いジャージ9 ~最終章~
荒木さんと私
―荒木さんと私―
「荒木さんっ!!」
私は荒木さんの腕を掴んでいた。
話すなら今しかない。
「あ、矢沢さん・・・・・・」
「ちょっと話せる?」
荒木さんは、昔と変わっていなかった。
綺麗な顔立ちで、同窓会で会った時よりもいい顔をしていた。
「もう矢沢さんじゃないんだよね」
と荒木さんは笑ってくれた。
その笑顔がとても優しかったので、私は緊張がほぐれた。
「荒木さん、久しぶりだね」
「そうだね。同窓会以来だけど・・・・・・こうしてちゃんと話すのって初めてかもしれないね」
同じクラスだったけど、私達はほとんど話したことがなかった。
お互いに何となくライバルだって気付いていたんだと思う。
荒木さんが先生を好きなことはみんなが知っていたけど、私の気持ちは知られていなかった。
だけど、荒木さんは知っていたんじゃないかな。