白いジャージ9 ~最終章~
「先生は誰にも気付かれていないと思ってると思うけど、私はわかっちゃったんだよね。矢沢さんに向ける先生の視線は特別だったんだ。私はずっと先生を見ていたから、わかった。私は何をしても矢沢さんには勝てなかった。頑張っても頑張っても・・・・・・だめだった」
フーっと息を吐いた荒木さん。
遠くから先生の声が聞こえた。
また大きな声出してるね。
「私はね・・・・・・先生がかっこいいから好きになったんじゃない。人間として尊敬できるし、本当に困った時に真剣に助けてくれようとする。だから、好きだった。卒業してもずっとずっと好きだった。きっと今も好きなのかもしれない」
先生を見つめる荒木さんの横顔を見ていると涙が溢れた。
「私は・・・・・・ずっと荒木さんのことが気になってた。私が荒木さんの立場だったかもしれない。ずっとそう思ってて・・・・・・」
「優しいね、矢沢さんは。だから先生は好きになったんだろうなぁ。私だったら、そんな風に思えないもん」
と荒木さんは笑った。