白いジャージ9 ~最終章~





「高校の時、私何度も告白したの。聞いてる?」




荒木さんは、恥ずかしそうな顔をした。




「聞いてない。そうなの?」




「やっぱり、新垣先生はそういう人だよね。秘密は守ってくれるんだ」





教室で噂になった時のことは知っているけど、先生から聞いたことはない。





「いきなり教室で抱きついて、告白したこともあるんだ。そんなことするからだめだったんだよねぇ~」




荒木さんは、自分の顔を両手で挟んで、パチパチ叩いた。



知らなかった。



抱きついたなんて。





「先生は、立派な人だね。私の告白をちゃんと受け止めてくれて、傷付けないように一生懸命に、フッてくれた。それなのに、卒業してからまた告白しちゃったりもしたけど」




「本当に好きだったんだね」





私にはできない。



きっと、ずっとこっそり想っているだけだと思う。





< 165 / 304 >

この作品をシェア

pagetop