白いジャージ9 ~最終章~
「高校の時、私何度も告白したの。聞いてる?」
荒木さんは、恥ずかしそうな顔をした。
「聞いてない。そうなの?」
「やっぱり、新垣先生はそういう人だよね。秘密は守ってくれるんだ」
教室で噂になった時のことは知っているけど、先生から聞いたことはない。
「いきなり教室で抱きついて、告白したこともあるんだ。そんなことするからだめだったんだよねぇ~」
荒木さんは、自分の顔を両手で挟んで、パチパチ叩いた。
知らなかった。
抱きついたなんて。
「先生は、立派な人だね。私の告白をちゃんと受け止めてくれて、傷付けないように一生懸命に、フッてくれた。それなのに、卒業してからまた告白しちゃったりもしたけど」
「本当に好きだったんだね」
私にはできない。
きっと、ずっとこっそり想っているだけだと思う。