白いジャージ9 ~最終章~
直と出会えた意味【先生目線】
―直と出会えた意味― 【先生目線】
今日は、お互いの両親と旅行に来ている。
こんなことは初めてだった。
計画してくれた直には心から感謝している。
正直、直はあまり気が進まなかったと思うんだ。
俺のお袋が同居なんて言い出したせいで、少し気まずくなっていた。
でも、そこで解決策を見出してくれようとするところが直なんだよな。
本当に最高の妻だ。
ふふ。
「和人君、いい体してるな」
直のお父さんが、俺の肩に手を乗せた。
「体育の教師ですから」
と俺が自信満々に言うと、親父が口を挟んできた。
「小さい頃は、弱虫だったのにな」
「そんなことねぇよ」
「いやいや。和人は、赤ちゃんの時はよく風邪を引いていたし、幼稚園に行くようになると、優しすぎて心配したんだよ。もっとケンカくらいすればいいのにと思っていた」
親父のその想いは、誠人に届いたのだろうか。
アイツは、やんちゃでケンカばかりしていたな。