白いジャージ9 ~最終章~
「しかし、直ちゃんはいい子ですな」
親父が、直のお父さんに話しかけた。
「そうですか?本人はそうは思っていないようですけどね。すぐに自分を責めちゃうところもあるし。和人君と同じで、小さい頃から優しすぎて心配でしたよ」
昔から変わってないんだな。
自分よりも他人の気持ちを考えて行動しちゃうところ。
争いごとが嫌いで、いつも間に入って自分が疲れちゃうんだよ。
「優しいふたりが結婚した、ということですな」
親父がそんなことを言うから、俺は恥ずかしくなって、天井を見上げた。
天井からポツリと水滴が落ちてきた。
あ、こんな感じ。
直が俺の前に現れたとき。
前触れもなく突然俺の前に現れた。
俺の心の入ってきた。
静かに、そっと……
俺の心を包み込んでくれたんだ。