白いジャージ9 ~最終章~
毎日、ただ働いているという感じだった。
恋愛とか、結婚とか、自分には関係ないと思った。
俺を想ってくれる女性は何人か現れた。
生徒以外にも何人かいたけど、俺の心は動かなかった。
生徒からの告白は、いつもどこかで冷めた俺がいて。
“卒業したら終わりだろう”なんて思っていた。
そんな俺なのに。
どうしてだろう。
直だけは特別だった。
生まれて初めてだった。
直の笑顔を見ると、一日が幸せだった。
直が幸せでいてくれることが俺の幸せだった。
先に惚れたのは、俺なのかもしれない。
いつからか、どのタイミングなのかわからない。
だけど、きっと……
ずっとずっと前から、直は特別だったんだと思う。
認めないようにしていただけで。