白いジャージ9 ~最終章~
「感謝してます。未成年の娘さんに申し訳ない」
親父が謝ると、お父さんは、首を横に振った。
「とんでもない。和人君のおかげで、我が家は救われたんですから。聞いてるかどうかわかりませんが、直の姉はひどく荒れてましてね」
直のお姉ちゃんに初めて会った時のことを思い出した。
鋭い目をしていた。
いい先生に出会えなかったと言っていたが、もしも学生時代に出会っていたら俺は何か力になれたのかな。
「和人君が、我が家をひとつにしてくれました。本当に感謝してますよ」
親父とお父さんは何度もお礼を言い合い、俺は間に挟まれて、その様子を見ていた。
俺は幸せ者だな。
こんなに愛されて。
直。
直のおかげだよ。
直が俺を変えてくれた。
救ってくれた。
結婚しても変わらない。
直への想い。