白いジャージ9 ~最終章~





「何度か電話があった。でも、もう終わったことだから、と断った。部長も謝りたかっただけみたい。お互いに家庭があったから、深入りすることはないだろうって思ってたんだよね。それが逆にだめだった」





体の関係はなかったと言っていた。



それだけ、部長も真剣だったんじゃないかな。





「子供ができるとね、男と女じゃいられない。母親と父親の顔になるの。特に女性は、一番が子供になる。だから、寂しくなったりすると思う。女の顔じゃなくなって、母になる」





私もお腹に赤ちゃんができて感じることがある。



今までと違う気持ち。



先生を愛しているけど、その気持ちとはまた別の子供への愛。






「直ちゃんと先生なら大丈夫だと思うけど、覚えておいて欲しいの。時々は、旦那さんのこと、一番に考えてあげてね。出会った頃の話をしたり、懐かしい場所に行ったり、ちょっとしたときめきを大事にして。そうすれば、夫婦はうまくいくと思う」





真剣に語ってくれる真由美さんを見ていると胸が熱くなる。



真由美さんは入社した時からずっと私の最高の先輩だった。





< 252 / 304 >

この作品をシェア

pagetop