白いジャージ9 ~最終章~
夜の散歩
―夜の散歩―
誠人さん達が来るまでまだ時間があった。
浴衣姿で、旅館の周りを散歩することにした。
「寒くねぇか?」
先生は、そう言って私の手を握ってくれた。
何でもないこういうことがものすごく幸せだと感じる。
ひんやりした先生の手がだんだんと温かくなっていく。
街灯の明かりよりも月の光の方が明るく見えた。
「いいな、こういう旅も」
「うん!めちゃめちゃ楽しい!」
ふたりの旅行も楽しいけど、こうしてお互いの両親と旅行って新鮮だったりする。
改めて、親に感謝することができる。
私はこの両親に愛されて育ってきたんだなってつくづく感じて。
時々涙が出そうになったりする。
先生のご両親の愛もたくさん感じることができた。