白いジャージ9 ~最終章~






「最後は俺からですけど、新垣さんはその場にいるだけで空気を和ませることができる人だと思います」




豪太が、真剣に話し始めた。



ドキドキした。




仕事中のような真剣な横顔。






「生まれもったものだと思うけど、人の気持ちをホッとさせてくれるし、一緒にいて、安らげる存在でした。退職は寂しいけど、これから母親として幸せになってください」





豪太、ありがとう。



嬉しすぎるよ。




豪太の言葉に、みんなが“惚れてんじゃないの?”なんて言い出した。



豪太は、へへへと笑った後に、また続けた。







「新垣さんは真面目なので、母親になっても完璧を求めてしまうと思う。でも、子育ては本当に大変だと思うから、100点を目指さなくていい。70点くらいを目指して、手抜きしながら楽しんで欲しいと思います」





手帳に書き留めておきたい言葉だった。



お母さんにも言われたことがある。






完璧な母親なんていないって。



毎日ずっと一緒にいるし、子育てには終わりがない。



息抜きしないとやってられないよ、と。





< 263 / 304 >

この作品をシェア

pagetop