白いジャージ9 ~最終章~
「お客さん、大丈夫ですか?」
涙を流す私に声をかけてくれたタクシーの運転手さん。
「今日で退職されたんですか?」
「そうなんです。赤ちゃんができたので」
「へ~!おめでとうございます」
気さくな運転手さんだった。
「実は、私の娘も来月出産予定なんですよ。もう毎日ハラハラしてますよ」
「そうなんですか?頑張ってくださいね」
そんな話をしているうちに、涙も止まっていた。
辞めても、ずっと続く。
みんなとの絆は消えない。
家の前で待っていてくれたのは、優しい旦那様だった。
「おかえり。直、長い間お疲れさま~!!」
両手を広げてくれた先生の胸に飛び込んだ。
「いい会社だったな。綺麗な花束もらったんだな」
先生はそう言って、記念に写真を撮ってくれた。