白いジャージ9 ~最終章~
「名前、なかなか決まらないな」
先生といくつも候補を挙げて、考えてはいるんだけど、なかなか決まらなかった。
雑誌や本を見て、字画を調べたりすると、どんどん迷ってしまう。
「ピンとくるのはないんだよね」
私と先生は、そっと手を繋ぎ、また空を見た。
「なぁ、直?」
先生は何かを思いついたように、私を見た。
「ん?」
私は少し体を起こして、先生に顔を近づけた。
「俺とお前の好きなものって何?」
「え?」
先生の手をぎゅっと握った。
そして、ふたりで青い空を見つめた。
そこに浮かぶ無数の小さな雲。