白いジャージ9 ~最終章~
「何かおかしいと思ったらすぐに産婦人科に連絡するんだぞ。昼間でも俺に電話していいから」
「うん。大丈夫だよ」
直は、近所のママさん達とも仲良くなっていて、出産したばかりの先輩ママからいろいろ教えてもらっていた。
「何かあったら車に乗せてくれるって言ってくれてるんだぁ」
「そうか、ありがたいな。でも、無理すんな」
予定日まであと2週間。
順調にここまでやってきた直だけど、さすがに体が重くて辛そうだった。
びっくりするくらいにお腹が前に飛び出ていた。
空の足がお腹から出てくるんじゃないかと思うくらい、お腹がよく動く。
もういつ生まれても大丈夫だと病院の先生に言われた。
俺は毎日ドキドキしていた。
空に会えることはものすごく楽しみだけど、正直言えば心配だった。
直は大丈夫だろうか、と。
出産の痛みも、陣痛の痛みも俺にはわからない。
でも、想像を絶する痛みだと思う。
直が苦しむ姿を見て、俺は何ができるんだろう。
ただ隣にいて励ますことしかできないなんて。
直の痛みを俺が取ってあげられたらいいのにと。