白いジャージ9 ~最終章~





「何かおかしいと思ったらすぐに産婦人科に連絡するんだぞ。昼間でも俺に電話していいから」




「うん。大丈夫だよ」






直は、近所のママさん達とも仲良くなっていて、出産したばかりの先輩ママからいろいろ教えてもらっていた。






「何かあったら車に乗せてくれるって言ってくれてるんだぁ」




「そうか、ありがたいな。でも、無理すんな」






予定日まであと2週間。




順調にここまでやってきた直だけど、さすがに体が重くて辛そうだった。



びっくりするくらいにお腹が前に飛び出ていた。




空の足がお腹から出てくるんじゃないかと思うくらい、お腹がよく動く。





もういつ生まれても大丈夫だと病院の先生に言われた。






俺は毎日ドキドキしていた。




空に会えることはものすごく楽しみだけど、正直言えば心配だった。





直は大丈夫だろうか、と。







出産の痛みも、陣痛の痛みも俺にはわからない。




でも、想像を絶する痛みだと思う。







直が苦しむ姿を見て、俺は何ができるんだろう。




ただ隣にいて励ますことしかできないなんて。



直の痛みを俺が取ってあげられたらいいのにと。







< 277 / 304 >

この作品をシェア

pagetop