白いジャージ9 ~最終章~
丘から見える校庭。
そこには誰もいなかった。
目を閉じてみる。
白いジャージを着た新垣先生。
“お~い、静かにしろ”
先生の低い声。
出席簿を持つ手。
出席を取る時の仕草。
“矢沢、声小さい”ってよく怒られたっけ。
背が高い先生。
体育座りをしている私の横を歩く先生を見上げる。
青空とひとつになる先生の顔。
心の中で“好き”といつも呟いていた。
“どした?”
“大丈夫か?”
“何かあったか?”
心配してくれる先生が大好きだった。