白いジャージ9 ~最終章~







廊下を歩いている先生は姿勢が良くて、その後ろ姿をいつも見ていた。







“廊下を走ってはいけません”と両手を広げる先生。




それでも走っちゃう私達。





遠いのに、時々近く感じる。



不思議な関係だった。







音楽室の前の廊下。




先生が寂しそうに夕日を見つめていた。





その背中があまりにも寂しそうで、寒そうで、悲しそうで。




気が付くと、背中に触れていた。








先生は人気者で、いつもみんなの輪の中にいる。






それなのに、どうしてそんな悲しい顔をするの?








私はずっと先生を見つめていたけど、先生の心の中までは見えていなかった。








先生は寂しさを抱えていた。





だから、私の寂しさもわかってくれたんだ。






いつも空ばかり見ている私を心配してくれた。









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