白いジャージ9 ~最終章~
「教頭先生の許可もらってるから、ゆっくりできるな」
先生は、音楽室の鍵を開けた。
ゆっくりと開く扉。
懐かしい匂い。
あの頃と同じ匂い。
カーテンから差し込む光。
「鍵閉めちゃったぁ」
あの頃と同じ先生のセリフ。
そして、同じニヤリ顔。
「久しぶりだな、ベートーベン」
先生は壁にかかったベートーベンの肖像画に挨拶をする。
いつも、見られてたもんね。
私達の秘密のキスを。