白いジャージ9 ~最終章~
先生と山の中で
―先生と山の中で―
滝を見たいと言い出したのは私だった。
夏の山は涼しくて気持ちが良さそうだった。
山と言っても、ほんの少し登るだけで、すぐに滝に到着しちゃうんだけどね。
長袖シャツを着た先生が、山の地図を広げた。
「道が整備されてるから、山登りって感じじゃないかもしれないな」
「いいの!山の綺麗な空気を吸えるだけで嬉しい!」
細い山道を登り始める。
先生の後ろを歩く。
何だか新鮮だなと感じたのは、先生の後ろを歩いているからだ。
いつも、隣にいるもんね。
手も繋がずに、先生の後ろをただ歩く。
先生の背中や、
後頭部や、
足元を見て。
先生の声を聞いて・・・・・・
時々振り向く先生の優しい顔にときめいちゃう。
“新垣先生”って感じだぁ。