白いジャージ9 ~最終章~
「好き」
聞こえないような小さな声で言ったのに、静かな山の中では先生の耳に届いてしまった。
「・・・・・・ばか」
立ち止った先生。
「余計なこと考えずに、今は山を登ることに集中しろ」
前を向いたまま先生はそう言った。
うん。
新垣先生っぽい。
先生は、現実にこういう場面に何度も遭遇しているんだろうな。
いきなり告白されたこともたくさんあるんだろう。
その時、先生を好きな生徒はどんな想いでいるんだろう。
私と同じくらい、ドキドキしたりしているのかな。