白いジャージ9 ~最終章~
大きな窓から見える庭園には、木が植えられていた。
その木が、家族旅行で温泉から見えた木に似ていた。
「この前の旅行ね、すごく良かったんだぁ」
「そうそう!聞きたかったの!両家集まっての旅行ってどうなの?」
「最高だったよ。先生のご両親とも本音で語り合えた気がする」
ゆかりも、いつかたっくんの両親を誘って旅行に行きたいと言っていた。
結婚はふたりだけの問題じゃない。
結婚してみて、そのことを実感していた。
私もゆかりもね。
「たっくんのお母さん、優しいんだけどさ」
と言ったゆかりの顔は、少しイライラがたまっているように見えた。
ゆかりは、ちょっとしたたっくんのお母さんからの言葉に敏感になっているんだって。