白いジャージ9 ~最終章~
「そろそろ俺、帰るぞ」
俺がそう言うと、健二が手を伸ばして、俺の膝をつかむ。
「帰らせないから。まだまだ話し足りない。お前にはいろいろ言いたいことがある」
やっと健二が俺の隣に座った。
そして、俺と健二は、大学時代の話を始めた。
別にいざこざがあったってわけじゃない。
でも、健二とはぶつかり合うことが多かったし、心から信頼できていたのかどうかは微妙だった。
健二は部長になりたかった。
俺は部長になりたくなかった。
でも、部員からの推薦で俺が部長になった。
「あの時、お前がうらやましくて仕方がなかった。俺は、やっぱりだめだなと」
健二は、グラスの中の氷を口の中に入れた。
「俺は努力していたつもりだったし、みんなをまとめる自信もあった。でも、新垣にはなれなかった」
「どういう意味?」
俺も氷を口に入れた。