白いジャージ9 ~最終章~
「直、ちゃんと話そう。俺、酔ってないから」
私と先生は、ベランダに出た。
秋の風に吹かれて、胸がキュンとした。
先生に片思いをしていた頃を思い出す。
半袖から長袖になった先生にドキドキした。
真っ黒だった先生の肌が少しずつ白くなるのも、好きだった。
「あのね、先生・・・・・・私に電話してきた?」
「ああ。でも、2度目の電話は圏外になったみたいでごめん」
「あれね、ちゃんと繋がってたの。先生の声、ちゃんと私には聞こえてたの」
先生は、私の方を向いた。
リビングから漏れる光と、月の灯りで先生の顔が幻想的に見えた。
「もしかして・・・・・・俺の会話、聞こえてた?」
「うん。先生、切るの忘れてポケットに入れたんじゃない?」
頭を抱えた先生。
その姿を見ていると、こんなことで怒っている自分が情けなくなる。
ごめんなさい、先生。