白いジャージ9 ~最終章~
「俺、楽しそうだった?」
先生は、苦笑いを浮かべながら私を見た。
「電話、切ろうと思ったの。でも、切れなかったの」
「そりゃそうだよ。俺だって、逆の立場だったら聞いてしまうよ。俺の知らない直のこと、知りたいと思うよ」
先生は、何も悪くない。
そんな悲しい顔をさせてしまってごめんなさい。
「ごめんなさい、先生」
「だからぁ~!謝んなって!」
頭をグイっと引き寄せられる。
泣きそうになったけど、泣いちゃだめだと思って我慢した。
「わかってると思うけど、俺は誰とも連絡先の交換してないし、キャバクラの女の子とも、必要以上の話はしてないから。その場を楽しもうと努力はしたけど」
「うん。わかってる。ごめんね・・・・・・」
今日は、ごめんね、しか言えなかった。
落ち着いて、気持ちを整理して、ちゃんともう一度話そうと思った。