白いジャージ9 ~最終章~
豪太
―豪太―
重い足取り。
今日は曇り空。
自己嫌悪で押しつぶされそうになる。
一歩進んではまた戻り、の繰り返し。
会社の前の信号待ち。
「よっ!おはよ」
力強く肩を叩いたのは、豪太だった。
爽やかブルーのシャツ。
「あ、おはよう」
「何、その落ち込んだ顔」
豪太にはいつも、心の中がバレちゃってるんだよね。
「今日は、本気で落ち込んでる」
豪太に弱音を吐くなんて。
「いつもは、大丈夫って言うのに。相当へこんでるんだな」
「うん。ちょっとね」
信号が青になり、歩き出そうとした。
「あんまり溜め込むなよ」
と豪太が私の背中を押してくれた。