Lonely Lonely Lonely
一息ついていると、私の携帯が、叫ぶように鳴り響いた。
剛からの着信だった。
まさか、翔センセ、今日のことしゃべっちゃったとかじゃないわよね?!
「はい、もしもし……」
おそるおそる、出てみた。
「ああ、俺だけど。今日来たぞー。お前のダチ。言われた通りにカットとパーマ、したけど、カラーはやめたぞ。
一気にやるの、良くないし、葬式に明るいブラウンの髪は、いただけないだろう。
カラーは、葬式終わってから、瑠璃ちゃんにやってもらいな、って言ってあるから、よろしく」
葬式……?ああ、そうだ。そういう設定だったんだっけ。
「ありがとう。そういえば、そうだったね。私ったら……」
うっかりしてた~!
「まあ、いいんだけどな、そんなこと。でも、珍しいな。お前が、そんな気配りできないなんて」
「ごめん。ほんと、そうね。しっかりしなきゃ」
とりあえず、素直に謝っておく。
「でも、意外だったよ。お前のダチっていうから、もっと派手な女かと思ってた。あんな純粋無垢なタイプとも、付き合いあるんだな。
見直したよ」
え~と、それは私を褒めているのか?グミを褒めているのか?
とりあえず、
「ありがとう」
と言っておいた。
「お前が、そう素直なのは、あの子の影響か?」
そう言われて、にわかに奴への怒りが甦った。
「そんなんじゃないわよ。これが本当の私。あなたが、知らなかっただけでしょう。それから、言っておくけど、グミには絶対手を出さないでよ。もう泣かせたくないから」
「もう泣かせたくない……か。興味深いな」
「面白半分に言わないで。あの子は、大変な経験をして、やっと立ち直ったところなのよ。幸せになってほしいのよ!あんたみたいな軽薄な男では私、許せないわけ!」
「えらく力、入ってんなあ。手エ出すわけねーだろ。お前のダチに」
「言ったね!言ったね。……」
しっかり聞いたぞ。
この男が、金曜日にどんな顔して登場するのか、見ものだ。
「ああ、安心したか?」
「安心?してないよ。だってあなたが嘘つきなこと、知ってるからね」